
モンゴルの大英雄であるチンギス・ハーン(チンギスカン)の
生涯を描いた井上靖の歴史小説。
小説の題名である蒼き狼とは、モンゴルの始祖のこと。
惨白き牝鹿と交わって、民族を生んだと伝承されています。
つまり、モンゴル人は狼の末裔になります。
生涯を戦いに明け暮れたチンギス・ハーンは
冷酷な侵略者であると同時に
モンゴルを豊かに導く指導者でもありました。
ひとりの人間がどのような道程を辿り
史上最大の帝国を創り上げたのか
彼の出生の秘密から丹念に追いかけます。
チンギス・ハーンはモンゴル帝国の版図を
拡大する半ばで識者から進言されます。
国を武力で治めても、それは一刻のことだ。
文化のない国は、やがて文化のある国に吸収されるであろう。
武力による帝国の拡大で、モンゴル人は新しい土地を獲得し
それまでの厳しい遊牧の生活を棄て
非支配国の文化・生活様式を取り入れました。
拓けた文化の恩恵を受け、生活が豊かになる一方
モンゴル民族の独自性が失われていく…。
晩年、自らをただ一人のモンゴル(狼の末裔)と称した
チンギス・ハーンはどのような思いで過ごしたのでしょうか。
民族の独自性は普遍的なテーマだと思います。
日本も武力をマネーに置き換えると
モンゴル帝国と似ているところもあるような。
日本のアイデンティティーを考えてしまいました。
他民族から見ると奇妙な国に見えるんだろうな…。
大切な文化を後世に伝えていきたいですね。




























